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朝は梅干、夜は夜星、昼は昼飯頂いて、男やもめの何とやら

        男やもめに「カビ」の花が咲く

 時間と仕事に追われおわれて幾年か。気づけばそこには、老人が男やもめでいるばかり。

 靴下50足、ブリーフ40枚、ワイシャツ30枚に「洗う門には福来る」としゃれ込んで

 汚れ物もうづ高く、積み上げてみれば、風呂場の湯船にカビの花が咲く。

 蕁麻疹の様に点在するワイシャツのカビを数えて数時間。

 洗剤バラ撒き洗えども、落ちる訳もありゃしない。

 数の限りを二ヶ月で使い果たしたわが衣装。

 中には、まだ汚れも少ないと、着てみるものの、汗臭に鼻が曲がるよおかみさん。

 いまや別世界に旅立った妻に語るも虚しいばかり。

 洗濯するのに一ヶ月、時間の合間に少しづつ

 風呂場は、汗とカビと洗剤のトリオの匂い立ち込めて

 「早く洗ってください」と言わぬまでもぶくぶくと泡を放出、あわてたよ。

 洗濯終わるや風呂場には、干しが散りばむ、風呂場の干し

 下から見上げて気がついて

 歌声さわやか、「上を向いて眺めて見よう、風呂の干しを・・・・・・・」と替え歌まじりに夜中の

 「男やもめの讃歌」。

 歌声高らか風呂場のエコーに酔いしれりゃ、隣家の住人怒鳴り込む

 「安眠妨害やめてくれ」

 天国気分もなんのその、一転地獄に突き落とされてカラオケどころじゃなくなった。

 よくよく見れば、干しの数々がこうもりのごとき気味なりき

 靴下、ブリーフ、ワイシャツもタオルもあるよ、ハンケチも

 気ままな暮らしと言うけれど、男やもめにゃ飽きも来る。

 時には家庭料理にありつきたいと、女友達探せども

 歯抜けのじじいにゃ目もくれぬ。仕方なしに街に出て

 ファミレスに入るも家族のいこいのひと時ばかり

 こころにゃ錦を飾れども、ない家族を飾れる訳もなし。

 カレーライスにコーヒーを腹におさめりゃ眠くなり、「お客さん眠っちゃこまる」と

 店員に揺り動かされて目が覚めりや、外は白々夜が明けて

 男やもめの夜が過ぎた・・・・・・。

 繰り返される人生に残る思いは唯一つ

 恋焦がれたるあの女(ひと)は、すでに男やもめの老人を過去の遺物と忘れ去り

 華よ蝶よと花盛り。及ばぬことと諦めながら風呂に咲く花見つめ幾としか

 ああ、男やもめの老人日記より・・・・・一説抜粋

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by warau_1 | 2005-07-28 04:53 | お笑いだよ人生