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平成綴り方日記より ③

平成綴り方日記より ③
 「恋の空騒ぎ」

 好いて好かれて、好かれて好いて、恋に明け暮れ恋焦がれ、道行く

女(ひと)もみな美しく、惚れた相手に見えてくる。

 後姿のかの人(ひと)似、思わず駆け寄り声掛けりゃ、似ても似つかぬ

違った顔に、振り向き様にどやされて立つ瀬乏しい秋の暮れ。

 恋は病と言うけれど、何時までたっても覚めやらぬ。覚める傍から

次から次に、右や左に心を砕き、目移り三昧切りもなし。

 何を求めているのやら、美貌・珍棒・けちんぼう。自分も知らぬ空騒ぎ。

やっと出会えたその女(ひと)に、猪突猛進するけれど、見向きもされぬ

なさけなさ。せめての思い告げりゃ去り行く恋の的。背筋にしたたる冷や

汗も虚しさ残す恋の道。

 恋する思いすれ違い心傷つく三十代。三十路(みそじ)を過ぎてアラフォ

過ぎりゃ、後は野となれ山となれ。次から次に言い寄って、端から

端まで肘鉄くらい、挙句の果てに空財布。

 やっと見つけた恋人も話しを聴けば、訳ありで子供三人亭主持ち。

個人破産も何のその、借金尽くめに身を砕き明日の生活ありゃしない。

空の財布を握りしめ、同情するも手を出せぬ。思い余った三三九度も

水で交わす水くささ。

 やがて、見えた喜びも一時過ぎれば糠喜びと気付いたその時金もなし。

道に迷った子羊さながらに、行く宛てさえも定まらずネオンの街に繰り

出して、物色・接触声もなく、ただひたすらにさ迷うばかり。

 ネオンに別れ、部屋に戻るもやもめ暮らしに慣れたけど、むなしさ

漂う夜の部屋。灯りをかざし空財布、見詰めて過ごすその度に思い

出されるボーナス日。一念発起と腰上げて就活・婚活考えりゃ、

まともな身支度できやせぬ。明日の糧さえままならず、やる事なすこと

先もなし。

あのまま、このまま時が過ぎ、白髪(しらが)混じりのゴマ塩頭、染める

そばから抜け落ちる白髪(しらが)舞い散る髪の乱。

 恋にほだされ身をやつし、心豊かに過ごせるならば、耐えて忍んで

過ごせるものを、恋なく金なく過ごすには、せめてあの女(ひと)

思い出し「一人にやにや笑うが勝ち」と床(とこ)に寝転ぶ一人部屋。

 上も下も現役と自負する時代が過ぎ去れば、彼方(かなた)に

残る記憶の世界。辿(たど)る思いもまばらとなり、名前すらも消えて

行く。「その時、あの時何して来たの」自問自答に明け暮れて、

誇れるものも何も無く、時の過ぎ行くままに身を委ねたる夢時雨。
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by warau_1 | 2013-05-07 15:53 | ラップ文学