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御江戸八百屋町

4 平成綴り方日記
御江戸八百屋町

 花の御江戸に入り混じる士農工商上から下まで

天下御免の大通り、「下に、下に」と大名行列過ぎる中、

「上に、上に」と首あげりゃ、無礼打ちよと首が舞う。

行き交う人の着衣を見れば、一目瞭然貧富の差。

士農工商ならず商工士農。

「武士は、食わねど高楊枝」気取ってみても腹は空く。

背に腹変えられず通い慣れたる質屋を覗き、腰の脇差し

金子(きんす)に替えて茶屋で茶団子一皿、二皿と

腹膨れればひと寝入り。

通りすがりの行商人、頭に「手拭い頭巾」あつらえて

背負う荷物の音がする。呼び声売り声飛び交う道に

「スリだ!スリだ!」叫び声。

逃げる人間追う人間辺りに足音響かせて眠りを覚ます。

「こら待て、スリよ!」と捕まえりゃ、歳も至らぬ痩せこけ

駆け出し小僧。

「スリじゃないよ」と叫びつつ擦り寄るスリの摩訶不思議。

「とうとう捕まえた!」とばかり、追う人間、小僧の胸ぐら

つかまえて

「よくもわしの財布盗んでくれた」とこぶしを挙げりゃ。

「こりゃ待て、其処なる商人、小僧いたぶる前に忘れ

ている事ありゃせんかい」しゃしゃり出ました貧乏侍。

突然言われた商人も頭点(あたまてん)になり目も点に。

鳩が豆鉄砲くらった目の動き。

「スリを捕まえたのは、何処の誰だと思しきか!」

言われて気付く商人の額にたらたら汗にじむ。

「お武家様に御礼もせず誠に申し訳なく平にご容赦を!」

まかりならぬと脇に手をやりゃ脇差もない。

そのまま手を出し謝礼を求め、僅かな金子が手に乗るや

せめて「武士の情け」と「これで腹膨らませよ」と小僧

の手に握らせる。商人、小僧を睨みつつ「番所に突き出す」

と騒ぎ立て小僧を連れて行きかけた。

「こりゃ待て、其処なる商人」又もしゃしゃり出ました貧乏侍。

怪訝な顔する商人に

「おぬしがスリに、おうた金子入れとは、何色ぞ」

問われて商人あたふたと「へえ、西陣織のものでござい。」

と聞くや貧乏侍いきり立ち

「この不届きものよ。おぬしの金子入れは、手前の尻に

ぶら下がっておろうが!」

腰帯に絡んでゆらゆらぶら下がる西陣織の金子入れ。

辺りに響く侍の声、集まる人々何事よと人だかり。

商人尻に手を回し金子入れを認めるや震えとまらぬ

わなわなと膝まずき差し出す金子入れ。

御江戸に咲きし人情花も桜と共に咲き乱れ、貧乏ながら

武士道生かし庶民支える知恵袋。
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by warau_1 | 2013-07-02 16:52 | ラップ文学