
ある日の事、 押し入れの天袋にしまった荷物を確認のために、押し入れ開けて布団の上まで登り、
荷物を確認した。そして、乱れた布団を手直ししていると、布団と布団の間から子ネズミの遺体。
万歳をした状態で口から血を吐いていた。多分、踏んづけてしまったに相違ない。
その遺体を近くに埋めてから間もなく。ネズミが駆け巡る音が部屋や天井に鳴り響いている。
きっと、親ネズミに違いないと思いながら、放置していた。
仕事から帰ると部屋の中は、細かいものがあちらこちらで、ひっくり返されている。
ネズミの母親の仕業と直ぐに気が付いた。そこで、その日以来、冷蔵庫の上に器を用意して、餌を
少しづつ入れてみた。
ネズミは、餌を綺麗に食べて、器まで綺麗になめてあった。「こんなことができるのか」との思い
を深めて、今度は、餌を多少多めにいつもの器に入れておいた。
仕事の関係で、アパートにいる時間が限られている私は、いつも、ご飯を炊いたらネズミの器に炊き立て
を入れてあげる。鰹節をまぶし、そばつゆを少しかけて、コロッケなどの端切れを入れてあげる。
それが子ネズミを踏んづけて無意識ながら殺してしまった償いだ。
そのネズミの母親に「サリー」と言う名前を命名した。する不思議、その名前が自分の事を呼ばれて
いる事が分かるのか、天井裏などで走り回っている時に、名前を呼ぶと静かになる。
その駆け回る理由がやがて、明らかになった。それは、アパート内に毎年出没するゴキブリ・ハエ・コバエ
等が一切でなくなった。つまり、サリーは、ゴキブリを退治したりしてくれていたのだ。
こうして、サリーは、我が妻の如く共同生活が始まった。
ある朝、いつもの器にご飯をたんまり入れて仕事に出かけた。途中で忘れ物を取りにアパートに戻ると
今朝、器に入れたご飯が半分になっていた。そして仕事を終わり帰宅すると器の中は、綺麗になっていた。
つまり、サリーは、私が一度出ると中々帰宅しないので、腹八分目で食事を残している事が明らかに
なった。それからと言うものは、器に三食分を入れてあげる様に心がけている。
# by warau_1 | 2019-08-29 05:32 | 小話アラカルト