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平成綴り方日記より ②

平成綴り方日記より ②
人生街道「恋の道」

 「恋は、盲目、周りも見えず目指す相手にひた走る」お決まりコース

に気を揉みて、父母(ちちはは)そわそわ落ち着かぬ。

 他人(ひと)の噂も七十五日とただ待つ身の世知辛さ。止めれば

なおさらお熱が上がる恋の道。

 「愛しています。」の一言求め、頭の中も渦巻いて、仕事も何も手に

つかず語る言葉もおろろんばい。

 見るに見かねた友人が、「人生一度」と告げながら「当たって砕けて

咲いて散れ」耳打ちするも届かぬ空しさよ。

 食欲不振に痩せ細り、「そんなに痩せてりゃ振り向かぬ。」言われて

気付きヤケ食いすれば、見れば見るほど豚むくれ。

 歌の文句じゃないけれど、「どうすりゃいいのさこの私」泣いてもがいて

日が過ぎりゃ、忘れるはずも、とことん惚れたる惨めさよ。

 「それほど惚れた相手とは、如何なる者ぞ」と、覗いてみれば、父母

(ちちはは)仰天びっくらこ。理想より一万キロも離れた相手と思いきや、

東大卒の財閥で高値の花と悟りしも打つ手無いまま帰り来ぬ。

 子供の心解らぬ分けもないけれど、相手のある事ゆえに、漂う父母

の空しさよ。

 「あきらめないこと」とオリンピックのメダリスト異口同音に語るのも

「継続は力なり」と暗に語る秘訣とやら。時が過ぎりゃ相手も変わり、

こちらも変わる。時の過ぎ行くままに、いとしき恋も憧れになり、身近

な人に一目惚れ。

 恋に焦がれた青春の一幕思う六十代。夫婦過ごして四十年。朝晩

見飽きた伴侶の顔も無ければ寂しい年の頃。

 「あなたと共に行きましょう。」先行き知れた老夫婦。白髪交じりの

互いを見詰め、一つ一つに刻まれたイバラの道の足痕がうっすら

浮かぶよ恋の道。憧れ続けたあの人も今頃白髪交じりの年嵩ね、

いずこにおわすかわかりゃせぬ。

 そんな思いも伴侶にばれず秘密のままに過ごせれば、今の幸せ

守れると、「伴侶への愛の証し」とつぶやいて、握りつぶす恋の道。

 道行く人の顔さえも今じゃ「伴侶に勝てる者なし」と心自慢に

ほくそ笑む足腰痛めた六十代。

by warau_1 | 2013-05-01 19:27 | ラップ文学