人気ブログランキング |

    やっと舞台に出演した俳優パパ!

      何がうれしいって、子供が喜ぶ顔が最高とか!

 タレント養成家業をする中で、時折、愉快な話題も出没。ほんのり温もる

 時もある。才能豊かなタレント候補なら、さほど本人・関係者苦労もせずに

 いられるものを、タレント・女優になりたい気持と才能反比例。どうすりゃ

 いいのさ思案橋。

 流れ流れた月日さえ、心に残る舞台なくタレント・女優と言うにゃ切なくて

 妻子に顔向けできやせぬ。

 それでも、やっと、めぐりめぐった舞台出演。どんな役でも出たもの勝ち

 と勇んで稽古に励むけど、励めど励めど思いの他、難しくてなきたくなる日

 もあるとかや。

 唇ついて出る歌さえも「だーれのせいでもありゃしない、皆おいらが悪いのさ」

 公演日が近づく度に子供や妻より「父ちゃんの初舞台観に行くからね!」

 と期待されればされるほど、辛くなるよおとっさん。

 それでも負けじと励んだ後で、歌うよ男の「男なら」静かに溢れる涙の帰り道。

 ついにきました公演初日、舞台の緞帳スルスルと上がりて舞台の始まり始まり。

 妻子の席は、舞台から見える位置にあるけれど、客席見ることかなわない。

 切ない思いが込み上げる。

 その子が「パパが舞台に初めて出るの、絶対観てね」と私を誘いたり。

 どれどれ何処にパパが出演しているのかと観てみれば、いつになっても見え

 やせぬ。

 彼の妻子は、目を皿にして新たに役者が登場する度に、ちぎれるほどの拍手

 を浴びせ、「ヒョットして自分の夫やあらへんか」と妻の切ない思いの篭った

 拍手ゆえ、傍で観るものの心打たずにいられない。子供は子供で拍手しながら

 「あっ、あれパパかな・・・・・あっ違うな」

 再三再四叫んでみるもむなしく響く子供の拍手。

 ついに舞台の幕下りて父親の初舞台は、終わりを告げた。

 「パパ、僕ねパパがいつ出てくるのかとじっと見ていたけれど見つけられなかった」

 と、じたんだ踏む子供に向けて、父親曰く

 「そうか、そうか、ありがとう。パパは、ずっと舞台に居たんだよ!」

 「私も見つけられなかったけれど、あなた何処に出てたの?」妻の弱弱しき声に

 「うん、舞台の中央に立っていた一本の樹があっただろう。あれがわたしだよ」

 切ない声がポロリとおちた。

 「あら、あなた、あの樹があなただったのとっても素敵よ!ずっと動かなかったわね」

 「いつも動いて舞台監督に叱られてばかりだったんだ。」そんなパパの声に

 「そうか、そうだったんだ。パパ!あの樹、僕がじっと見てたけど動かなかったよ!」

 家族仲良く帰る姿に「本当の今日の舞台はこれだった。」そんな思いが込み上げて

 心温もるひと時が過ぎた。

笑えるHP ランキングに投票!
   

by warau_1 | 2005-10-03 15:26 | 小話アラカルト