占いブームに便乗して

    人生が本当に決まってしまう瞬間

 世の結婚適齢期の方々にとって、「相性占い」「易占い」は、

口では「気にしていない」と言うけれど、内心興味深々が本音。

 「高学歴でいい男」、「片や普通の女性で血統書付き」という

出会いに高学歴の青年は、「美人で優しく頭が良くて資産家の

女性ならいいな」そんな期待に胸を膨らませて結婚相手を物色。

 それでもめぼしい相手が見つかったのに、気持ちを伝える事

すらできずに「私、結婚しますので、あなたも良い相手を見つけ

てね。」と言われて、一刊の御終い。

  青年は、友人の中に「筮竹占い」のできる人物がいる事を

想起し、高学歴にも関わらずついに「筮竹占い」で結論を出す

ことに意を決した。

  青年 「山田君、今度の日曜の夕方、君の家に行ってもい

      いかな?」

  山田 「うん、新婚早々の妻に夕食つくってもらい、待って

      いるよ。」

  当日、事前に青年から電話が入り、午後七時頃の訪問

となった。そして、菓子折りぶら下げ青年が山田宅を訪問。

  青年 「こんばんわ。山田君おりますか?」

  山田 「おお、来てくれたね。待っていたよ。一緒に夕食

      しようよ。」

  青年 「いや、ご馳走になりますよ。新妻さんの手料理」

  新妻 「あら、嬉しい、どうぞ沢山召し上がれ」

  青年 「早速、ご馳走になります。あっ、これお二人に」

  青年の差し出したクッキーは、マロングラッセだった。

辺りを夜の帳がすでに包んでいる十月の中頃のことだった。

  寄せ鍋料理に金平ゴボウ、そして海老のてんぷらと

豪華な晩餐会が三人で開かれた。話題は、もっぱら

青年の嫁さんのこと。すでに人から紹介された女性と

交際しているものの。いまいち彼の理想とする「美人」

には、距離がある女性だったらしい。

 食事が終わり、コーヒーブレイクになった時、

 青年 「山田君、申し訳けないけれど、頼みが・・・・」

 山田 「遠慮なくいいなよ。苦楽を共にした仲なんだ。」

 青年 「そうだよな。じゃ、言うけれど嫁さんの事占って」

 山田 「いいよ。お易い御用だよ。」

 山田は、机の中から筮竹と算木を取り出し、厳かに筮竹

をじゃらじゃらと鳴らし始めた。都心郊外にある新婚所帯は

筮竹の鳴る音で一杯となった。

 山田 「ねえ、これから占うけれど、自分の将来に対する

     思いを願ってごらん。」

 青年 「分かった。」と眼を瞑り青年は、正座し瞑想状態

になり、顔には真剣さが滲みだした。山田も真剣。

 山田 「君、この筮竹から一本引いて、手に握っていて」

 青年、山田に言われるままに筮竹を一本手に引いた。

 山田 「・・・・・」「・・・・・」

 山田は、二回筮竹をかき混ぜ算木を並べ「結果が出たよ」

と静かに語り始めた。

 山田 「君、今、付き合っている人とは、良縁だよ。テキスト

     に書いてある内容は、『これほど良い機会に恵まれ

     たのも、これまでの努力に対する褒章』となるよ。」

 青年 「うーん。そうか・・・・・。申し訳けないけれど、もう一

     度占って。」

 山田 は「いいよ。」と再度筮竹に手をかけて占う山田。

 青年は、先ほどと同じ様に一本筮竹を抜き、じっと眼を閉じ

 山田が占うのを待っていた。

 山田 「・・・・・・」「・・・・・・」「掛が出たよ」

 青年 「どんな結果だった?」

 山田 「あのね、『この機会を逃せば、この種の機会は訪れ

     ない』と言う結果だよ。」

 青年 「えー、そうなんだ。弱ったな!気持ちが・・・・ねえ、

     山田君、三度目の正直ってあるよね。これで最後

     だから、もう一度、占って。頼むよ。」

 山田 「いいとも」と三度目の占い、そして結果が出た。

 青年 「今度は、どんな結果だったの?」

 山田 「ちょっと言いにくいのだけど・・・・・」

 青年 「いいよ、正直に言ってよ。」

 山田 「分かった。結果はね、『いい加減に眼を覚ませ。

     贅沢を言わず身のほどを知れ』と言う結果だった

     のさ。」

 青年 「う・・・・ん。分かった。俺、今付き合っている彼女

     と結婚するよ。」

 そして青年は、その占いの日から二ヵ月後、その彼女と

目出度く結婚式を迎えた。それから十年後、山田は青年に

「幸せか」と聞いた。青年の答えは「幸せ一杯」だった。
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by warau_1 | 2006-02-04 04:04 | お笑いだよ人生