人の心踏みにじり見せかけ、だまし、やらせの何でもありか

   恋も愛も憎悪と憎しみの表裏一体  

 巷に転がっている恋物語、恋愛物語に何故か心引かれて魅せられて

涙ちらつく夕暮れに、来ない相手を待ちわびる痩せた女の姿あり。

 通りすがりの道すがら、二時間経っても動かぬ彼女。不憫と思うも

何もしてあげられず、待ち人来るを祈るだけ。

 人ごとでなく、こちらも待ち人来やせぬものを、何故か気になる彼女

の姿。来ると言って来ないやからの顔が見たいもの。電車が遅れて

「遅刻」と言って「不可抗力」を説明しても「来ない」と言う事実は、

消えやせぬ。

 とうとう待ち人来ないで煮え湯を呑まされ、帰る道々歯軋り三昧。

それでも平静保ちつつ電車に乗るや例の彼女がただ一人、電車の

ドアに寄り沿って一人で帰る道すがら。こちらも同じ一人の帰り路。

 声を掛けて慰めて上げたいけれど、こちらも慰めて欲しいくらい。

 電車は走り駅二つ、彼女はしょんぼり降りていったプラット・ホーム。

罪なやからもおるものと同情誘う光景重なりて、涙さしぐみ帰り来ぬ。

 歯軋り強く繰り返し、腹の納まる頃まで最寄の喫茶で過ごそうと

入店するなりコーヒー注文。

 店員コーヒー差し出して「お待ちどう様」と語ったその時、こちらも軽

く会釈して、コーヒー飲もうと口あけるや否や「ポチャン」と音立て差し

歯の前歯が一本、カップの中にコロリンコ。

 余りの歯軋りに耐えかねて、もろくも落ちがついたのか。

コンビ二飛込み瞬間接着剤を購入し、喫茶に戻ってコーヒーの中から

差し歯を取り出し、乾かし接着剤を取り出して、やおら接着液のチュー

ブを押してみる。よだれの様にたれ落ちる接着剤がセーターにポトンと

垂れて塊はじめるよいわんわん。

 驚き手放すその瞬間、差し歯もセーターに付着したのを知らないで、

床や椅子の間をくまなく探し、見つけたところは、セーターの胸元。

 すでにしっかり固まって、突いても引いても取れやせぬ。

これぞ、正真正銘「はでなセーター」というものか。
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by warau_1 | 2006-04-16 23:53 | 恋人とエピソード