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 く の 一 虎 の 巻


           <酒は飲むべし、呑まれるなかれ>

 ある出版社での「中途採用新入社員歓迎会」の場面。

女社長、三十四歳、独身。従業員13名、新入社員2名。

挨拶、乾杯終えて無礼講になるや社長の酒のピッチが急速にアップ。

この社長、「深酒、悪酔い、泣き上戸」で有名。

「だからさ、私ね、悲しくて、涙が止まらなくなってしまったのよね」

「社長、もう徳利二十本ですよ。その辺で止めた方がいいわよ。」

最も社長のお気に入りのH秘書嬢が社長を気遣う。

「何言っているのよ、せめてこんな時、のませてよ」と泣きながら秘書嬢に。

「それでさ・・・・・」社長、話を急にストップ。辺りをきょろきょろ。

「あたし、おしっこ行って来るね」と洗面所へ向けて、ふらつく足で席を立った。

秘書嬢、「社長、気おつけてね。」

「あんたの世話になるほど、酔ってなんかいないわよ」と社長、洗面所に姿を消した。

暫くして、社長が戻ってくると、一斉に周辺の客が社長に注目。

秘書嬢がどうしたのかと社長に眼を向けても、前から見る限りどこも変わった様子がない。

そこで、「社長、早く席に戻って下さい。」と秘書嬢が社長を連れ戻しに席で手を差し伸べた。

独身女社長は、席の前まで辿りついた。

後ろから見ている客がみんな笑った。秘書嬢、怪訝に思い社長の後ろを見た。

ブリーフが前だけ上がっていてスカートを巻き込み、生お尻半分出しっぱなし。

慌てて秘書嬢、「社長、しっかりして」と言うなり秘書嬢絶句。

洗面所から社長のお尻までずっとつながっているものがある。

トイレットペーパーがスカートに挟まったまま、切れずに女社長の後に付いて来て

いた。

「社長、もう」と秘書嬢、社長の身だしなみを直した。その時、社長曰く

「いいのよ、気にしないの、『長いものには巻かれろ』と言うでしょ。うぃ」

すると、独身男性新入社員曰く「これぞ、『く』の一虎の巻だ。」

これを聞いた女社長「えらい、あんた新入社員にしては、できてるね。ここにおいで」

と新入社員を近くに招くなり、接吻。そして、曰く「これが本当の『く』の一じゃ」

と席に座って眠りこけた。

こんな女社長を世間は、「馬尻(ばけつ)」と言う。

by warau_1 | 2004-10-26 01:40 | 落語だよ